愛情、絶望を繰り返したらいつの間にかカラッポになった。

気分的にそんな事を書きたくなった。

人生は自分次第でどうにでもなると思ってた20代半ば。

自分の新しくなった持ち物袋に大きな愛情を積み込んだ。

ついでに夢や理想も目一杯詰め込んで大きな空へと旅へ出た。

毎日が色めいていたな〜と感じる。

毎朝毎晩乗っている山手線の黄緑の帯にすら希望を感じてた気がする(笑)

頭が完全にバカになってるとしか思えない程にどうでもいい景色も宝だった。

小さな頃はアルプスの少女ハイジの様な世界観、ドラクエやFFの様なゲームの様な美しい世界に住む事に強く憧れて、東京なんて人間の住む所じゃないと思ってた。

でも、環境次第でそんな無機質な街の景色すらも万華鏡の様に輝いて見えていた。

全てだった。自分の持ち物袋の中にあるものは人生のプラチナチケットだと思ってた。

それにすがるように生きていた。俺はすがっていた感覚なんて無かったんだけど。

本当に自分の理想通り生きたいならば地道な努力は欠かせない。

俺がマイルス・デイヴィスビル・エヴァンスの様な天才じゃないなら。

世知辛い世の中だけど、やり方次第では実は何者にもなれる時代だ。

今の世の中はとても便利だから。

白帯が黒帯を圧倒するなんて日常茶飯事の世の中だ。

百戦錬磨と思われたツワモノが轟音を立てて崩れていくその陰で、こっそりと笑う見えざる強者達。

凡人でも知恵と知識で武装すればそれなりの存在になれる。

必要なのは信念と思いの強さ。

たとえあなたが根っからのアナーキーで反抗的だったとしても、貫いて貫いて貫いて貫きまくれば、いくら巨大なハンマーで打たれても全然沈まない憎たらしい杭になれる。

遥か昔からそんな事は変わらない。

でも今は現代文明の異常発達の恩恵か、ハードルは低くなりつつある。

のろまな亀だってジェットエンジンでうさぎどころかチーターだってぶっこ抜ける!

大事なのはいつだって想いの強さ。

いくら知恵を持っても知識を磨いてやり方を心得たとしても。

気持ちが無ければ一つとして意味を持たない。

そして、重厚で頑丈な装備品は、装備する者のレベルが足りなければただの重荷にすぎない。

扱えない武器をもったとしても、魂を吸い取られて終わり。

意志なきものがメタルキングの装備をまとったとて、潰されるだけさ。

そこで初めて知るんだ。

あぁ。本当の自分は何一つとして何も望んでいなかったんだなと。

大きな袋に

 

大きな愛

夢や理想

それらを叶えるに値する装備品の数々

時間

 

それだけあれば十分な事は分かっている。

現に上手く進めそうな感じを十分に実益を伴って感じられた瞬間だっていくつもある。

 

でも、いつだってふと気づくんだ。

大事なのは気持ちの強さだという事を。

沢山沢山愛を大切にしようとして、理想を考え続けて、必要な武器を何度も失敗しながらようやく素敵な装備を手に入れて!

そこで初めて気づくんだ。

 

 

俺自身はすでに空虚だったんだという事に。

 

 

そこには愛も喜びも絶望も失望も悲しみも楽しさも怒りも何一つ無かった。

あれだけ色めいていたものが全て記号にしか見えない。

俺の目に映るものは全てただの記号なんだと思えてしまったんだ。

現実なんだけど現実に思えない。全ては記号なのだと思えてしまうんだ。

 

 

笑ってても怒ってても軽蔑の眼差しを向けられても何をどう思われても。

何だか全てが虚しく思えてしまった。

もう頑張ろうにも力が入らない。

今までの全ての経験が大きなリングになって俺の脳を締め付けるんだ。

まるで悟空と三蔵法師の関係。

 

 

目の前に映るもの、起こる出来事、巻き起こる感情のような物。

それらは一瞬俺を動揺させては儚く消え去って、それがまた記号に見えてくる。

 

 

もうそれが悲しいのか何なのかもあまり自分で分からない。

全てに感動しなくなってしまった。感動すらも記号に思えてしまう。

久しぶりに自分の持ち物袋の中身を覗いてみたけれど、中から無味無臭の空気がす〜っと抜けていった。

中には何もなくて、ホコリが少したまっていた。

とりあえず汚かったので、そのホコリを取るために、袋の内側を裏返して、バッババッバと中のホコリを手でパンパン叩きながら払ってキレイにしておいた。

何だかすっきりした自分がいた。